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昔の話

 

 

昔、昔、大昔。人々が狩りなどをして暮らしていた頃だ。

  ウーは洞窟の自分の寝床に横になっていた。今は真昼である。父親のアーは早くから獲物を追いに出かけている。母親のイーも外に出て忙しく働いているようだ。

 ウーはまだ子供だが、いつの日もこんなふうにごろごろしている。ほかの家庭の子は親の手伝いをしているか、自分で小さな獲物をつかまえるか、とにかくしっかりと仕事をしている。ウーは何もしない。

 両親はそれをあきらめている。ウーに何もいったりしない。ウーには何もできっこない。

 ウーは長いこと穴の外へ出ていなかった。穴の外の世界があるということも、もう覚えていなかった。

 ごろごろして、時々親の持ってくるものを食べる、それがウーのすべての行動だった。

 穴の中は当然暗い。昼間はかすかに外からの光がもれてくるが、それでもほとんどまっくらだ。それが急に眩しくなったものだから、ウーの驚きはすさまじいものだった。ウーは目をあけていられなかった。精一杯目を閉じていてもまぶたは痛かった。無性に痛かった。

 その光の正体は、神だった。

 神はウーを抱きかかえた。最初ウーは激しい抵抗をしていたが、そこが存外に居心地がいいのに気づいて、神のふところにおさまった。

 やがてウーは目があけられるようになった。神が放つ光は、ウーが住む穴の中の様子をはっきりと示していた。ウーは、見えるという懐かしい感覚をここで取り戻した。

 ウーは自分を抱きかかえている神の顔を見た。それはおだやかなものであった。

 神はそのまま穴の外へ出た。

 ウーはここで外の世界を見た。昔見たことがあるような気もしたが、そうでない気もした。

 広い世界の印象は強烈だった。ウーは震えが止まらなかった。

 神はウーを力強く抱いて、大地を歩き出した。世界が動いていた。ウーはなおも震え続けていた。神はウーに世界をひと通り見せたあと、ゆっくりと大地から離れた。ゆっくりとゆっくりと、そのままの形で、大地から空にのぼり始めた。

 ウーは高いところから世界を見おろしていた。もう怖くはなかった。

 白く眩しい光は、地上からは見えないほどの高さに達した。彼らは静かに天に向かってのぼっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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