空にはいったい、いくつのお星さまがあるのでしょう。
「ひとつ、ふたつ、みいっつ・・・」
お星さまをかぞえはじめたななちゃんの目には、まだなみだがのこっています。
さっき、おとうさんにしかられて、ななちゃんは、なきながら庭へとびだしたのです。
「おとうさんのばか」
ななちゃんは、庭の大きな石に、ちょこんとすわりました。かなしくてかなしくて、なみだがとまりませんでした。
こんなことははじめてです。ななちゃんのいうことは、なんでもきいてくれると思っていたおとうさんが、きょうはあまりかまってくれなかったので、ななちゃんはおとうさんに、いろいろいたずらをしかけました。
それでもおとうさんは、
「きょうはおとうさん、お仕事でくたくただから、ひとりであそんでなさい」
といって、ごろんと横になったままでした。ななちゃんはその上にとびのろうとしました。いきおいよく、どん。
「いたた、こら、おりこうにしてなさい。こうさんこうさん」
おとうさんは、せなかをおさえながらいいました。それでもななちゃんは、また同じようにおとうさんの上にとびのりました。
「やった、やったあ。おとうさん、おうまさんだあ」
でも、おとうさんは、
「こら、いいかげんにしないと、ほんとにおこるぞ」
と、おっかない顔でいいました。ななちゃんは、きゃっきゃっとおもしろがって、おとうさんのおはなをつまんでみました。
「わあ、おとうさん、まっかなおかおのてんぐどん」
すると、
「どうしてもおりこうにできないのか」
と、とうとう頭の上にげんこつがおちてきました。
おとうさんがななちゃんに、こんなことをしたことは、いちどもありませんでした。
「わああん」
と、なきながら、ななちゃんは、はだしのままおうちをとびだしたのです。
「にじゅうろーく、にじゅうなーな。あれ・・・」
もうお星さまのかずはわかりません。
お星さまは、ほんとにふしぎなものだそうです。あんなに小さいのに、ほんとは、ななちゃんのおうちよりも大きいのです。いえいえ、みんながすんでいるこのちきゅうより大きな星も、たくさんあるそうです。おとうさんがそういってました。
あのお星さまの中には、うちゅう人がすんでいるものもあって、そこから円ばんにのって、ちきゅうへやってきているそうです。うちゅう人は、人間ににているものや、たこみたいなのや、いろいろいるそうです。ななちゃんは、なきつかれて、じめんにあおむけになろうとしました。すると、
「おい」
と、よぶ声がしました。
ななちゃんが、はっととびおきて、見ると、どうでしょう。まるでするめみたいね、へんなかっこうのうちゅう人が見ています。
「わたしはうちゅう人だ。おまえはちきゅうのおんなのこにまちがいないな」
と、うちゅう人はいいました。ななちゃんは、
「そうだよ」
といいました。
「ちきゅうには、いいこばっかりいるときいて、ほんとうかどうかしらべにきたんだが、ほんとうか」
と、このへんなうちゅう人はいいました。
「そ、そうだよ、ほんとだもん」
ななちゃんこう答えると、うちゅう人は、
「やっぱりそうか。おまえたちはみな、いいこなんだな。うそじゃないな」
と、ねんをおしました。ななちゃんが、
「うん、うそじゃない」
というと、何かメモをとりはじめました。
「そうか。わたしはうちゅうの星にかえって、それをほうこくするとしよう。さよなら」
「さよなら」
うちゅう人は、いちどまっかにひかったかとおもうと、きえてしまいました。
「ななちゃん」
気がつくと、うしろにおとうさんとおかあさんが立っています。
「いまね、うちゅう人がそこにいたの」
ななちゃんが話すのを、おとうさんとおかあさんは、にっこりと聞いてくれました。
ななちゃんの声がかなしい声にかわっていました。
「ななちゃん、うちゅう人にね、うそついちゃったの。ななちゃんいいこじゃないのに、いいこだって、うそいったの」
おとうさんは、
「ななはいいこだ。いいこだよ。それより、おとうさんこそ、さっきはわるかったね。ごめんなさい」
といいました。ななちゃんは、
「ううん、ななちゃんが、わるかったの」
と、おもっているとおりのことをいいました。
ちょっぴりおりこうさんになったななちゃん、これからもお星さまを見るたび、もっともっとおりこうになっていくんでしょうね。
きれいな夜空を見ながら、おとうさんはふしぎなうちゅうのお話を、いくつもしてくれました。
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