ゴンはとってもやさしい子なのに、みんなはゴンのことをとてもこわがります。

「こんにちは。ぼくゴンでえす」

 人なつっこくそういうと、みんなきまってひめいをあげます。中には気をうしなってしまう人さえいます。

 ゴンは明るい子です。そんなことがあってもちっとも悲しいなんて思いません。また別のところで同じように、

「こんにちは。ぼくゴンでえす」

といっています。

 なぜみんなゴンのことをそんなにこわがるのかというと、実はゴンは、おばけだったのです。ひと目でふつうの子とちがっているのがわかります。急にゴンがあらわれた時、だれもがおどろいてしまうのも、むりのないことなのかもしれません。かわいそうなゴンは、自分がおばけで、ほかの子とちがっていることに気がついていません。

 子どもがあそんでいるのを見つけると、ゴンはすぐに近づいていきます。

「こんにちは。ぼくゴンでえす」

 すると子どもたちはやっぱり、

「きゃああ」

といって、いちもくさんににげていきます。きのうもそうでした。おとといも、その前もずっとです。

 ゴンはいつもひとりぼっちでした。それでも悲しくはありません。そう、ゴンは明るい子なんです。

 それにしてもきょうはいい天気です。青々とすんだ空に、雲はひとつもありません。ゴンはくぬぎの木のかげで、すやすやとひるねをしています。さわやかなそよそよの風が、ほんとうにいい気もちでした。

「ねえあそぼうよ」

 そんな声がしました。はっとして見ると、ひとりの男の子が立っています。右手にはゴンが見たことない、赤や黄色があざやかな、おもちゃらしいものをもっています。

「あそぼうよ」

 男の子はゴンにそういいました。

「ぼくと?」

 ゴンはそういいました。今までいちどだってこんなことはなかったのです。

「うん。あのね、これかざぐるまっていうんだよ。むかしのおもちゃなんだ。風がふくとほら、こんなふうにくるくるとまわるの・・・。おもしろいでしょう」

「ほんとだ。おもしろいね」

 ゴンは、くるくるまわるかざぐるまを見て感心していました。

「ぼくユウちゃん。きみは」

「ぼく、ゴンでえす。えへ・・・」

 

 それからふたりはいろんなことをしてあそびました。かんけり、おにごっこ、かけっこ、それから戦争ごっこにかいじゅうごっこ・・・。ゴンはどれもほかの子どもたちがあそぶのは見ていましたが、自分がやったのははじめなので、たのしくてたのしくてしかたありません。時間がたつのもわからないくらいにふたりはむちゅうであそんでいました。

「いけない。今なん時だろう」

 とつぜんユウくんがいいました。あたりはずいぶんうす暗くなっています。

「きょうはもう帰らなきゃ。ゴンちゃんあしたまたあそぼうね」

「ほんとう」

「うん。あしたもここであそぼう。じゃあね」

 そういってユウくんはかえっていきました。ゴンはそのうしろすがたをずっと見送っていました。

「かけっこも、かいじゅうごっこも、みんな、すごくおもしろかったなあ」

 うれしい顔でそんなひとりごをいいました。ふとゴンは、木の下にかざぐるまがあるのを見つけました。

「ユウくんが、わすれてったんだ」

 ゴンが手にすると、かざぐるまはそよそよの風にいきおいよくまわりはじめました。

 

 くるくる

くるくる

くるくる

 

 

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