くるくる

くるくる

くるくる

 

次の日になりました。きょうはどんなことをするのか、ゴンはたのしみです。朝から山に出かけ、ユウくんといっしょに食べようと思ってたくさんの野いちごをとってきました。右手はかざぐるまをしっかりにぎっています。

お日さまがきのうと同じ場所にきたころ、遠くからユウくんの声がしてきました。

「だいじょうぶだよ。ゆうがたには帰るから」

そしてこんな声もしました。

「気をつけてあそぶのよ。いいわね」

 たったたったという足音といっしょに、くぬぎの木の下にユウくんがかけてきました。

「ゴンちゃん、きょうもあそぼうね」

「うん。はいこれ」

 ゴンが野いちごをいくつかわたすと、ユウくんはそれをいちどに口にいれました。ユウくんは、きょうはいろんなおもちゃのはいった青いばけつをもってきています。

「すごいロボットがあるんだよ」

 そういいながら、ばけつの中からりっぱなロボットのおもちゃをとりだしました。

「へえ、ユウくんそれすごいねえ」

 するとその時、

「きゃああ」

と、それは大きなかなきり声がしました。どきりとしてふたりが声のほうを見ると、女の人がうずくまっていました。

「あれ、ママどうしたの」

 ユウくんは女の人のところへ走っていきました。この女の人はユウくんのママでした。ユウくんのママは、声をしぼりだすように、

「ユウくん、は、はやく・・・」

と、ユウくんの手をひっぱり、その場からさろうとしています。

「ママ、ねえどうしたの」

 ふしぎそうにユウくんが聞くと、ママはまっさおな顔でゴンを指さして、

「あ、あれ・・・」

といいました。ゆうくんは、

「ああ、ぼくのともだちのゴンちゃんだよ」

と、わらっていいます。

「まあなんてこと。いらっしゃい、さあ早く」

 ママは半分白くしたままユウくんの手をひっぱります。ユウくんはなきそうです。

「どうして・・・。これからぼくたちあそぶんだ」

「いいから、いらっしゃい」

ママはひめいに近い大きな声をだしながら、ユウくんをむりやりつれていってしまいました。

ゴンがはじめてなきました。かなしいという気もちをはじめて知りました。なみだが地面をぬらすのをはじめて知りました。

次の日もゴンはユウくんをまちました。でもユウくんはきません。次の日も、その次の日もゴンはくぬぎの木の下でまっていました。

もうずっとゆうくんはこないのかな。もとどおりのひとりぼっちになっちゃうのかな…。

ゴンがにぎりしめたあのかざぐるまは、砂ぼこりでだいぶよごれています。

その時

 

くるくる

くるくる

くるくる

 

ものすごいいきおいでかざぐるまがまわりはじめました。同じ時、声がしました。

「ゴンちゃあん」

 ユウくんの声です。力いっぱいにかけてきます。ママといっしょでした。ママもユウくんといっしょでした。ママもユウくんにまけないくらいのはやさで、ゴンの目の前まできました。目からいっぱいのなみだがあふれていました。ママはいいました。

「ゴンちゃん。この前はごめんなさい。いつまでもユウくんのいいおともだちでいてね。ほんとうにごめんなさい・・・」

なきながらのことばは、子どもみたいね声でした。

あの日ママにつれられてうちに帰ったユウくんはかなしくてさみしくて、人がかわったようでした。こんなことははじめてだったので、みんなたいへん心配しました。ユウくんはベッドから出られませんでした。やがて、ずいぶん高いねつまででてきたのです。ユウくんがゆうべベッドで、ゴンがどれだけ心のきれいな子なのかを、うわごとのようにいっしょうけんめいに話すのを聞いているうちに、ゴンやユウくんにくらべて自分がすごく心がせまいことに気がついたママは、わっとなきだしてしまいました。そして、まずゴンにどうしてもどうしてもあやまりたくなったんです。

「ユウくんとずっとあそんでもいいんだね。やった、やったあ」

 ゴンがとびあがってよろこんでいます。

「まずこれからだ。へんしんロボットだよ」

ユウくんはそういって、ばけつの中のロボットをとりだしました。ふたりはふたたびたのしくあそびはじめました。やっぱりふたりはだいじなともだちです。

 

くるくる

くるくる

くるくる

 

 木のえだにかけられたかざぐるまがまわっています。それは、小さいけれどとてもやさしい心をもつゴンとユウくんをまんぞくそうに見つめているかのようです。

 かざぐるまは、いつまでも気もちよさそうにまわっています。

 

 

かざぐるま おわり

 

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